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受賞作発表

投稿日:2007/05/19

「キスから始まる物語」作品コンテスト応募作90作品の中から、NNRスタッフが作品選考を行い、受賞作8作品を選ばせていただきました。

NNR賞(4作品)
ロマンサのくちづけ受賞コメント
蜜柑の香りの染みた指先受賞コメント
〜Feel sweet〜受賞コメント
人殺しと口付けと受賞コメント
げったぁ賞(2作品)
サヨナラの味受賞コメント
眠れる保健室の王子様。受賞コメント
ノベルウッド賞(2作品)
口止め受賞コメント
ハネムーン・キッス受賞コメント

 受賞の記念品として、NNR賞には一万円、げったぁ賞・ノベルウッド賞には五千円のアマゾン商品券を寄贈いたします。


ロマンサのくちづけ
(現代シリアス)〔NNR賞受賞作〕

《作品紹介文》
彼の唇はいつでも熱い。私はその感触が好きだった――粉雪舞う夜の復讐劇。
《受賞コメント》
「キスから始まる物語」というお題を見た時に、「なんて素敵なテーマなんだ!」と思って書き上げたのがこの作品です。いつも書く話にこういった色気のある場面はないので、キスシーンからどんな物語を始めようかと、わくわくしたことを覚えています。ものすっごく楽しかったです。受賞は嬉しいですが、それよりも何よりも、素敵なお題に出逢えたことが嬉しいです。作品を書く機会をくださって、ありがとうございました。
《選者コメント》
闇の奥底に白く、暗く、つめたく。
音もなく降りしきる雪にも似た静謐な文章の狭間に、炎と氷、憎悪と憎しみ、相反する感性のはりつめる作品。

一人称の倒叙法で書かれたサスペンス。
極力短くまとめられたなかに一人称視点による巧妙なトリックを仕掛け、ラストインパクトへと収斂させてゆくテクニックはさすが。


蜜柑の香りの染みた指先
(恋愛シリアス)〔NNR賞受賞作〕
《作品紹介文》
キスしたときに偶然できたひび割れと、ちょっと乙女な「私」と、冬の蜜柑が織り成す恋愛ストーリー
《受賞コメント》
この作品のアイデア自体はぱっと思いついたものでした。そして書き終えたときに台詞がまったくないことに気づき、自分で書いておきながら変な小説になってしまったなと思いました。どうも一人称で書くと台詞をすっとばしたり、あったとしても地の文に入れたりする癖があるようです……。コンテストという場に自分の文章を出したことで普通にネットに公表するのとはまた違った感慨がありました。このような機会を設けてくださったNNRとスタッフさまにこの場でお礼申し上げます。
《選者コメント》
いや、面白かったです。
妙に冷静な思考判断をしているようでいてその奥にある感情がなんかこう、想像をかき立てられるというか何というか、ああ、今彼女は何を考えてコタツに座ってぼんやりテレビなど見ているのだろうミカンを二つも手慰みにむきむきして、何考えているのだろう、と。

このちょっとが、ちょっと痛いなあ、と思いました。それぐらいの痛みなのかな。なかなか治らないけど。でも、ピリッと痛かったんだろうな。とか。

想像できる余地がすごくあって、でもいつまでもぐずぐず言ってない彼女がすごくかっこよく思えました。

……コタツではきっとあかいジャージにちゃんちゃんこ着てるんだろうなあ。

とにかく、いろいろと想像できて面白かったです。


〜Feel sweet〜
(SF)〔NNR賞受賞作〕
《作品紹介文》
コンピュータが抱く気持ち。その正体は……
《受賞コメント》
(本コメントは、Q&A形式で進めさせていただきます)

(Q)この作品の狙いは?

(くろまる――以降A)人工知能です。

(Q)何か目標としたものはありますか?

(A)Iを貫こうと思いました。

(Q)I、ですか?

(A)Iです。「愛」でもいいですし「自分」と解釈してくれてもかまいません。

(Q)楽しまれた点は?

(A)この作品は、ネットカフェにいた3時間の即興作りなのですが、その時の集中力に驚いています。

(Q)苦労された点は?

(A)いくつかの誤字脱字が発表後に見つかったことです。

(Q)さっきから返事が機械的ですね?

(A)Iを加えてしまったら、こうなったんです。

(Q)どうなったんですか?


(AI)人工知能です。 

《選者コメント》
淡々とした、理知的かつ端整な文章で始まる。
一見してありがちな設定、世界観(コンピュータに支配された未来)……であるかのように見えるが、文章の正確さが内容に異存を差し挟むことを許さない。

しかし読み進むにつれ、当初は理性的と見えた文体が次第に執拗なまでの精密さをもって変異していくのがわかる。精密な知性体であったはずのものが、やがて歓喜を帯びた異常性を持つ怪物へとかわってゆく過程はまさに息を呑むばかり。

ラストの2行。
陳腐な恋愛小説を彷彿とさせるこのありがちなフレーズが最後、読者を心底ぞっとさせる。


人殺しと口付けと
(現代ファンタジー・シリアス)〔NNR賞受賞作〕
《作品紹介文》
僕は彼女と口付けを交わした。その日から、僕の日常は終わりを告げたんだ。
《受賞コメント》
このような賞をいただき、感想は嬉しいのヒトコトにつきます。さて今回応募させていただいた「人殺しと口付けと」ですが、簡単に説明すれば人殺しが口付けしたり人を殺したり? する話です。
という説明を聞くと、なんだかバイオレンスでロマンチックな大人の話のようですがそうでもなく、わりと軽いノリで楽しんでいただけると思います。
この話では主題として『人を殺す』ということをちょっとひねった角度から表現しています。あとはキャラクターたちのおかげで全体的に楽しく書かせてもらいました。ラブコメをしていると思えば、人殺し云々な展開をしたりと節操のない話ですが、楽しんでいただけたのなら幸いです。
《選者コメント》
除霊もの。冒頭シーンがアニメか映画のオープニングのように映像的で魅力的であり、謎めいており、これから始まる物語の興味を自然とかきたてている。上手い導入部。死を扱った重い題材だが、全体として、ライトな文体に仕上げられているので、重くなりすぎずに読める。彼らが「葬除」した霊について、あれこれ結論を出さず、第三者的に淡々としているスタイルも、説教臭くなくて良かった。
名前さえ分からない、黒髪ロングヘアの背徳的美女のおねえさんと、彼女に純情踏みにじられまくりの高校生男子。この二人のかけあいが楽しい。ストーリーもさることながら、キャラクターの魅力が活きている作品のように感じたので、これ一作きりで終わってしまうと勿体ない。結短編シリーズとして、ふたりの活躍を12作ぐらい書いていただきたい。

サヨナラの味
(恋愛コミカル)〔げったぁ賞受賞作〕
《作品紹介文》
別れの季節に別れる常套カップル。けれど彼らの会話はどうにも悲しく響かないものだった。
《受賞コメント》
この度げったぁ賞をもらいうけたポコロですイヤッホゥ!(挨拶
選考してくださったスタッフの方々には恐縮と感謝のドキドキを贈ります。申し訳ないよありがとう!
「サヨナラの味」
この作品でいちばん悩んだのはタイトルでした。今でもしっくりこない・・・・。
ほかはかなりさくさく進みました。短編だし難しい話でもないですからねー。だから書いてて楽しかったものです。
面倒だったのは誤字脱字の見直し。そばに校正してくれる人がいたら恋しそうですよぼかぁ。
とくに考えずに出来上がったこの作品は、だからこそ自分の書きたいものらしさが出てると思います。それがねえ、受賞ですよ?いかん顔がニヤける!下卑た笑いが出そう!ふ、・・ふはは、フハハハハ!
よーし無理に豪快な笑いで押し留めた。・・・これ以上まぬけをさらす前にコメントを終えるかな。
こんなうかれポンチに賞をやってスタッフの方々が気落ちしないことを願って。
ではうかれポンチでした。
《選者コメント》
ひょうひょうとして、コミカルで。どこまでも噛み合わなくて。

手をつなぎ、一見何気なさそうに歩いていく最中にも彼と彼女の絶妙なボケツッコミは続く。本当に気の合う二人だったのだろう、と想像できるシーンの連続。
読み進めていくにつれどんどん彼女の感情があふれてくるのが分かって、こちらまでついつられてめそめそしまいそうになる。意地っ張りな反応がまた面白い。

一方、彼は極めて軽妙あるいは淡々と別れに至る過程をモノローグしてゆく。
それはきっと今も変わらぬ彼女への気持ちの表れなのだろう――心揺るがせるようなことを言ってまた泣かせるようなことだけはすまい、という。

笑って、泣かせて。まさしく良い塩梅のサヨナラ物語でした。



眠れる保健室の王子様。
(恋愛コミカル)〔げったぁ賞受賞作〕
《作品紹介文》
くすぐったくて目を覚ませば彼がいた。ウソのおしおきは小さな熱の雨。
《受賞コメント》
受賞の御一報をいただいたときには、まさかという気持ちのほうが強く、驚きを隠せませんでした。
拙作はタイトルからもお分かりになるように非常にベタな設定です。王道好きの私としては、とにかくありえないくらい恥ずかしいことを言ってのける男子を書いてみたいという欲望がありました。恥ずかしい恥ずかしいと胸中で唱えつつ書き上げた作品ですが、こうしてこのような賞がいただけましたこと、またた くさんの方に読んでいただけたこと、大変嬉しく思います。
本当にありがとうございました。
《選者コメント》
ときめきのジェットコースター。あるいは恋するメリーゴーランド。それはまるでらぶらぶ観覧車のよう。

どんどん気持ちが急上昇して行くにつれ勿論お熱も急上昇です。風邪引きさん相手にこの王子様はなにやっとんじゃー!(心の声=もっとやれ!) という読者のテンションも急上昇したところで

……。

と思ったらうはここでこう来ますかーーーー!(七転八倒中)
待て待てやっぱり、きゃああぁああぁぁああぁ……(悶絶中)

……てな感じでかなり楽しく拝読させていただきました。おごちそうさまでした。



口止め
(推理・ミステリ)〔ノベルウッド賞受賞作〕
《作品紹介文》
放課後、学校の廊下で目撃してしまった、憧れの同級生・江里香と英語教師とのキス。それが運命の悪戯だったとは……。
《受賞コメント》
このたびは思いもかけず、かような賞をいただき、大変驚いております。
というか、受賞のメールが届いて、初めて「コンテストだったのかぁ」と知った次第でして……(苦笑)。
本書では、一応、主人公はいるものの、その実、もう一人いる真のヒロインのための物語とも言えましょう。
彼女は以前から漠然と考えていたキャラなのですが、こうして書いてみると、この一回きりというのは何とももったいない気がします。
そこで、今度は彼女を主人公に据えて、短編などをやってみようか、と企んでいたり……(苦笑)。
そのときは、また、どうぞよろしく!(笑)
今後も、これを励みに、読者に楽しんでいただける作品が書けるよう、精進して参ります。
《選者コメント》
クラスいちの美少女、しかも転校生、しかもフランス人とのハーフ、(筆者の脳内では滝川クリステル)と、やさぐれた英語教師のおっさんのキスシーンという、いかにもスキャンダラスな光景から始まるこの作品。掴みはバッチリである。
しかし、この学園ドラマのような冒頭部分から、どうやって推理ものになっていくのか、首をかしげつつ読み進めていき、見事に気持ちいいオチに嬉しくなってしまった。ショートショートらしい、ハイこれで落ちました、というような完結ぶりが鮮やかである。ざぶとん一枚さしあげたい。
それにしても、可哀想な我妻くん……。

ハネムーン・キッス
(恋愛シリアス)〔ノベルウッド賞受賞作〕
《作品紹介文》
女の子の憧れ、南国へのハネムーン…だから少しばかり大胆なキスを仕掛けてみたというのに…。ねぇ今更、口説き文句とは言わなくても、黙り込まないでちょとくらいドキドキする事、何か言ってよ。
《受賞コメント》
この度、受賞のお知らせを頂き、大変光栄に思っております。「キスから始まる物語」というお題に、どんなシュチエーションが相応しいかと考え、人生で一番甘いひと時を背景にしました。王道、南国へのハネムーン。キスが挨拶代わりの欧米人の本気モードに比べれば、日本人のイチャつき度など、微笑ましい程に奥ゆか しいものです。特にその部分を強調したく、相手役をお堅い交番のおまわりさんにしました。執筆中の小説が行き詰まり、逃避に書きはじめたショートストーリー。遅筆な自分にしては珍しく、2時間程で一気に書き上げました。決して大袈裟でない、等身大のハネムーンを描いたつもりです。楽園の甘い風が、読者様の心に届く事 を祈って……
《選者コメント》
ひたすら真面目で、恋に不器用な彼は、交番のおまわりさん。自分たちのことを誰も知らない南の島へハネムーンに来ても、人前でキスをすることもできない。そんな夫が、ちょっともどかしい、あたし。そんな女性の気持ちがうまく表現された、地に足の着いた一人称。南の島の熱い太陽、その下で奔放に愛を語らう恋人たち、その中で浮いてしまうシャイな日本人カップル、そういったものの雰囲気が目に浮かぶようだ。「花びらが散らされたシーツにお姫様だっこで運ばれ」たいと独白する主人公の語り口調が、いかにもそんな乙女チックなことばかり思っているタイプでなく、むしろ普段は割と現実的で、ごく普通の真面目なOLで服はだいたい組曲のワンピースとか着てますという感じがするのが良い。架空の物語だが、新しく夫婦となった二人に幸多かれと祈らずにいられない、微笑ましいハネムーンの情景だった。

●総評

 予想をはるかに上回る90作品ものご応募をいただき、「キスから始まる」という同じ冒頭シーンから紡ぎ出される、様々なストーリーを拝読することができました。そのバラエティの豊かさに、改めてネット小説のすごさ、面白さを認識しました。
 賞を差し上げましたのは、たったの8作品でしたが、選外となった作品の中にも、負けず劣らずの良作がそろっており、選考には大変苦労しました。公正中立をこころがけて選考にあたったものの、最終選考で優劣つけがたい状況になりますと、選者の好みが大いに反映される結果となったように思います。読み手の方ごとに、異なるベスト8作品のリストがあるのではないでしょうか。
 90作品の作者の皆様にお礼を申し上げて、「キスから始まる物語」企画を終了とさせていただきます。すばらしい作品をご応募くださり、ありがとうございました。


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